部屋掃除担当のミャンマー人がボクを見つけて少し驚いた表情に。
そしてはにかみながら ”Welcome back…”

部屋からの景色が少し変わって隅田川と勝どき橋(泣笑)
なんてこった!
外来の診察で部屋に入って座ると直ぐに先生が「麻太郎さん」と振り返る。
事前に済ませた血液検査とレントゲンの結果にかなり問題があったようだ。
外科の手術に感染リスクは常だが今回は既に肺周りに炎症を起こしており、早急に膿を取り除く必要があると先生から手短に説明があった。
確かにこの2週間、朝は携帯で奥さんを呼んでベッドから起こしてもらうことも数回あったけど、日中は咳さえ出なければ耐えられない痛みは無かった。
気持ちの整理もつかないまま緊急入院、馴染みの?個室で連絡すべき人たちに電話連絡し、キャンセルすべき案件はネットでキャンセルして、一息ついたところで施術室に呼ばれた。
部分麻酔の注射を5本打たれた後で思い出す。
自分の肉を刻まれているこの感覚・・・ここに20センチほどのチューブを肺に向けて入れていく。
この半年間何度メスを入れ、針を入れ、管を入れたのだろう。
自分で言うのも何だけど、ボクは精神はタフな方だと思っていたけど、身体もこれほど負荷をかけても意外と大丈夫そうだ。
今年4度目の入院だけど、どこの病院でも回復力の速さを看護師さんたちから指摘されている。
今回の入院は2週間くらいみておく必要があるようだ。
悪いものが全部排出されるまでは帰れない。
病院側としても再再発だけは許されないのだろう。
一番話し易い看護師さんにそれとなく聞いてみた。
「そうですねぇ、出戻りの患者さんって・・2~3か月にお一人くらいはいらっしゃるかしら。」
この病院には16の手術室がある。
1日3回稼働するとして約50手術。一か月で1000手術。2か月で2000・・・
そんなに大きくは外れていないだろう。
これだけ幸運に満ち溢れているボクの人生で、「それは無いだろう!!」と思わず唸る。
それでも結果的には「あの時はあれで良かったんだ」と後々思うことになるはずだ。
今までいつもそうだったのだ。
時間潰し名人
前回の入院時に先生に聞いたことがある。
「そうですねぇ、今回の手術の回復には2~3か月はみて下さい。普通サラリーマンの場合、会社が1か月までしか認めないケースが多いので診断書には1か月と書きますが・・」
そうか、サラリーマンはやはり大変だな。
でも自営業の人のなかには退院した翌日から働く者もいるらしい。
そういう意味では労働をしていないボクなど、ほんと幸せ者だ。
真鶴の海鮮民宿にキャンセルを入れてブツブツ言っていては、ばちが当たる。
そこで大事な宿題をこの機会に片付けることにした。
奥さんが「仕事辞めたらいつかビジネスクラスでフランスに行きたい」と言っていたのを思い出したのだ。
ボクの保有マイルを計算すると、片道はビジネスで行けるがもう片道はエコノミーになってしまう。
奥さんだけ一人往復ビジネス(ボクがエコノミー笑)でも全くハッピーではないだろう。
じゃあ二人とも帰りをビジネスにして、行きの羽田のチェックインで何とかアップグレード交渉出来る様に色々ストーリーラインを考えてみる。
これだけで1日潰れるが(笑)JALのパリ路線はドル箱だ。そもそもボクたち二人に振り当てる空席がビジネスクラスにその時無ければ、どんなに感極まる物語を作っても無駄なのだ。
じゃあ折角の奥さんの願いだから、まともに(笑)お金を払って実現するか。
そうするとワンワールド世界一周航空券が選択肢に入ってくる。
これはJALの提携先航空会社を繋いで太平洋と大西洋を回って地球を一周して日本に帰ってくる航空券だけど、ビジネスクラスも用意されている。JALでは往復20~30万円するフェルサーチャージもほぼゼロの魅力的な航空会社もアライアンスの中に複数ある。
勿論フランスだけでなく、アメリカやアジアの各都市、計16都市までストップオーバー出来る優秀な航空券なのだ。
しかもこの世界一周券、、羽田・パリの単純往復ビジネス券と10~20万円くらいしか値差が無いのだ。
件のサーチャージ代を上手くマネージすれば、総費用はトントンだ。
然しながらそんな訳で世界一周券は大人気で、360日前から予約しようにもなかなか希望のフライトはとれない様だ。
座席枠だってワンフライト2~3ってところか。
じゃあこの際王道を行ってパリ往復料金を払って確実に席を押さえにかかるかぁ。
これなら例えば行きはJAL、帰りはカタール航空と、世界最新鋭のスィートビジネスシートの両方を楽しむことも出来る。
180万円くらいか・・
一生に一度くらいこんな出費もOKだ。奥さんが感激してくれるのなら。
こんな調査をしているだけでまた1日の時間を潰せる。
そして気が付くのだ。
あれれ??? ここ(個室)に2週間も入院してたら、一人分のパリ往復チケットが買えるじゃないか!
これで急に現実に引き戻されることになる。
でも・・いいのだ。
病院はボクを助けてくれる全ての人々に感謝出来る素晴らしい場なのだ。
夜勤で2時間ごとにボクの点滴をチェックしに来てくれる看護師さん、1階のローソンに行くのに車椅子を押してくれるおじさん、三日に一度洗髪してくれる陽気なおばちゃん。
「ありがとうございます。」
「助かりました。」
毎日沢山の感謝を伝えることが出来る特別な場所にはそれだけで対価を支払う価値はあるものだ。
こういう時こそ、お金の心配などしない程度のお金はやはり持っていた方が良いに決まっている。
お金にも感謝する数少ないケースだ。
それではShanti Shanti! 素晴らしい1日を!
