岬にあるクラシックホテル。
今思えばアジア・アセアン諸国では散歩中にコロニアルホテルに寄ってちょっと涼をとるって贅沢がありました。
海外赴任中
マレーシア
最初にメルセデスに乗ったのは20年前だ。
出勤初日にEクラスが与えられ、それから間もなくしてSクラスになった。
外資系はヒエラルキーがはっきりしているのでポジションで社有車まで厳密に決められる。
ボクはというと、実はこの期間メルセデスに対しての特別な思いは何もなかった。
奥さんが遊びに来た時「麻太郎ちゃん凄いねー!私ベンツ初めて!」と言われた時少しうれしかった程度だ。
新規事業立ち上げで忙殺され、かつなかなか結果を出せなかったので「ボクもついにメルセデスだ・・」なんて感傷に浸る余裕など1ミリもなかった。
週末土曜日は毎週法人会員のKLのクラブでビジネスゴルフ&パワーランチ。
マレーシアでは最高級のチャンピオンコースで、Sクラスでの登場がふさわしい(笑)。
同時にマレーシア有数の超難関コースでもあり、あれだけプレーして一度も100を切れなかった(汗)。ボクはゴルフが下手くそなのだ。
まぁお客さんが喜んでくれればそれで良かった。
で、日曜日は毎週精神を解放する為に気分転換に自分で運転してKLから100キロ離れた小さなコーストリゾートへ。
そこで長期滞在している退職後の日本人ご夫婦とプライベートゴルフを楽しんだ。
同僚のドイツ人達の間では「マレーシアのオービスは160キロで振り切れる」という都市伝説が。
ボクも地方への出張時にはドライバーにそう運転するように指示していたし、自分で運転する時もそうしていた。
200キロ超まで踏み込んでも全く怖さを感じないのがメルセデス。
ドイツとその隣国では普通にそれ以上のスピードで走ることを前提に設計されているから当たり前だ。
でもここはマレーシアのハイウエイ。路面状況も交通ルールも全く異なる環境だ。
あの頃・・・特に最初の1年半くらいはかなり刹那的で、今思えばちょっと危険な精神状態だったかもしれない。
また、マレーシアでは外国からの輸入完成車(現地生産でない車両)についてはトランプ関税などと比べ物にならない高率の輸入税がかけられていた。
自国自動車産業保護と雇用拡大の為だ。
さらに当時の現地の(安い)物価まで勘案すると、Sクラスは現地感覚では1億円を超えるウルトラ高級車だった。
よく自分で運転していて事故にも事件にも遭わなかったと、随分落ち着いてしまった今のボクは神様に感謝する。
シンガポール
今から10年前。Eクラスだった。
シンガポールって安全・クリーンなイメージがあるけど、交通違反切符もお巡りさんと交渉など出来ない (笑)。
最初の1年は所謂国際免許証で運転出来るが、2年目以降も運転する場合はローカルの免許証を取得する必要がある。
この筆記試験が日本より難しい。当然これもお金で解決出来ない (笑笑)。
オーチャード通りの紀伊国屋に対策用テキストを買いに行くと、英語・ヒンズー語・バハサ語の本しか無い。
面倒くさいなぁ・・
そもそも東京以上に車など不要な環境だ。
国土が狭いので、クォーター制度といって年間の輸入車両台数を国が制限している。
その代わり物価の高いこの国でタクシーだけは日本より安いし、電車の運行は日本以上に正確だ。
さらにはボクのサービスアパートメントから街中の主要ポイントには無料シャトルバスが頻繁に出ているから週末は社有車などいらんのだ。
メルセデスだから運転したいというアスピレーションも無かった。
免許試験ヤダなぁ・・・
総務部長を呼んで聞いてみた。
「ボクのEクラスの月額リース料っていくら?」
「(円換算で)30万円です。」
「マジか!!」
そこで交渉開始だ。相手はお巡りさんではない。
「いいかい?ボクは社有車が無くても仕事に支障は無い。Eクラスを返却したらインセンティブとしてリース料の半分をバック出来るか?」
そんなに厚かましい相談ではない。過去には日本の某大手企業だって海外出張時に航空チケットをビジネスクラスからエコノミークラスに変更したら往復で5万円バックするインセンティブとかあったものだ。
総務部長はちょっと困った顔をしている。
「麻太郎さん、残念ながら今はそのような制度はありません。次回のマネージメント会議で稟議にかけて貰えれば、制度化に向けての検討は出来ますが。」
確かにそりゃそうだ(笑)。
仕方ないので週末をつぶして勉強して何とか免許証を取得、やれやれだったが、その半年後には帰任命令が出た・・・
そんなこんなで駐在先でのメルセデスには思い入れが全く無い。
国内(本社)では
マレーシアから帰任したら、Cクラスが与えられた。
E/Sより下位モデルだし運転手もつかなかったけど、ボクは大変嬉しかった!
海外駐在先で社有車が与えられるのはまぁ普通のこと。
でも日本でメルセデスを与えられるということは、それなりにサラリーマンとして成功した証だ。社内でのボクの承認欲求が満たされる。
また、会社から家に戻ればご近所さんからもそれとなく聞かれる。
地元ナンバーではないし、3~4か月ごとに車が新車に変わるのだから。
はにかみながらボクは答える。
「ええ、実は社有車なんですヨ」
ボクのご近所さん達はCクラスより上位のメルセデスやレクサスに乗っている人多数な訳だけど、サラリーマンでメルセデスの社有車というステータスの誇示で、ボクの幸せホルモンが溢れ出す。
ここまで自分が書いた文章を読み直してみると何て小さな奴だとつくづく実感する(爆笑)。
57歳で役職定年となり社有車を取り上げられて、自分でメルセデスを買って(笑)今日に至るけど、それはもう単なる安全安心の車に乗りたいという理由だけだ。
だから今の僕には車から承認欲求を感じることはない。
これが前記事から続いた「今回Bクラスで大変満足です」という大変回りくどい話でした。
新車だと「ちょっと寄ってみようか」とフットワークも軽くなります。
それではShanti Shanti! 素晴らしい1日を!