写真家の篠山紀信さんが4日に亡くなり、その日のうちに大きなニュースとして取り上げられました。
篠山さんと言えば、ボクとしては南沙織の旦那さんとしての印象の方が強いけど、プレイボーイを愛読していた世代としては、若き日の思い出の中の登場人物の一人であったことは間違いありません。
一方で先日、経済評論家の山崎元さんの訃報を聞きショックを受けました。まだ65歳・・
元旦に亡くなられた様で少し時間が経ってからの報道でした。
お二人のご冥福をお祈りします。
人は皆その各々の人生において影響を受けた人物を何人か持っているようです。
まだ学生だった頃、「それは誰ですか?」的な発表を何度かさせられた記憶がありました。
数年前には日本語講師養成講座の朝のスピーチで同様の課題が出て「おいおい60過ぎて勘弁してくれよー」と深いため息をついたものです。
その問いは何の為?誰の為?
ボクには63年間生きて来て正直そんな人に巡り合ったことはありません。
但し人生とまでは言わないけれど実質的にボクの生活を良い方向に導いてくれた人はたくさんいる。
身近なところでは趣味を広げてくれた友達や、成長の為に過分のチャンスを与えてくれた会社の上司、またそれをサポートしてくれたチームの面々等々・・
その中で確実に近年のボクの生活環境を変えてくださったのが、山崎元さんです。
彼のお陰で心配性のボクも60歳ですぱっと会社を辞めることが出来たし、それから3年余り経った今では何ら経済的な心配をすることも無く穏やかに日々を過ごしていると言って過言ではありません。
それまで株で下手を打ってばかりいたボクでも勝てる可能性が高い投資信託の扱い方を教えてくれたのです。
十数年前、まだインデックスファンドと言う投資信託が無名だった頃、市場の動きに連動するETFなる金融商品を買って長期で保有していれば経済成長の果実の平均点は獲得できることを彼の書物で知りました。
「へー、ただ買ってじーっと持っているだけで、常時市場に張り付いている投資家の半分には勝てるんだ」と思ったのを今でも鮮明に覚えています。
当時保有していた残念な商品が償還を迎えたのをきっかけに、早速日本のTOPIXや、先進国そして新興国の指数に連動するETFに投資を始めました。
山崎さんは自身が楽天証券に身を置かれていた頃から、一般的には証券会社が顧客に薦めづらい「低コストの商品」の優秀さを合理的に説明されていました。
また今でも尚多くの投資家に支持されている「こつこつと長期にわたり積み立てるべし」みたいな神話を当時より完全否定、(余裕資金が手元にあるなら直ぐ!)タイミングを計らない一括投資を推奨されていたことが印象深いです。
「世界経済の継続的な成長を信じてインデックス投資をしているなら、より長い期間、より多くのお金を市場にさらすのが一番効率的」
そして
「1000万円を一括投資した翌日リーマンショックで50%暴落するのも、毎年100万円をこつこつ積み立てて10年後にリーマンショックが来て50%の暴落を喰らうのもその瞬間に背負うリスク幅は同じ」
と、小鳥脳のボクにでも理解出来る説明をされていたのが山崎さんでした。
そしてそれまで手続きが結構面倒だった全米投資において、6年前に楽天証券が新たに導入したインデックスファンドにボクはまとまったお金を突っ込みました。丁度単身の海外駐在から帰国したばかりでそれなりの余剰資金があったのです。
定年間際にコロナで一度は急落した株式市場もその後の世界的な金融緩和で急回復し、退職後も無事株価は伸び続けました。
今後万一あの「100年に一度」と言われるリーマンショックが来て50%の暴落を喰らったとしても元本は割らないレベルに金融資産が成長した昨年末、「あっ、もう何があっても大丈夫だな」と思いました。将来的には奥さんとの超強力な2馬力の年金も貰えるのです。
無理して生活レベルを上げるつもりはありませんが、平穏な日々を暮らすには「お金が十分ある状態を認識し続ける」ことが望ましいと思います。
もうひとつ印象的だったのは、幸福感に係る価値観が山崎さんにほぼ同意であったということです。
山崎元さんについては以前も記事にしました。
1.自己決定の自由度の拡大(=お金があった方が良い)
2.健康 (=お金があった方が良い・・かもしれない)
3.他人からの承認(=お金ではない)
幸福感の要素として1と2に異論を唱える人はあまりいないと思いますが、3はどうでしょうか?
ボクは以前より記事で、自身の承認欲求について触れていましたが、何かもやもやしていたのです。あまり世間から賛同されないような・・
でも山崎さんの説明でボクの小鳥脳が整理されました。
そう、「人に好かれる、良好な人間関係、人気者になる」と彼は非常に簡単な言葉でまとめていました。
その通りなんです。
定年退職して経済的な自由を獲得してもそれだけでは物足りない何か・・
「麻太郎さんに是非お願いしたいんです」と7年前の元部下からの電話を受けて現在の仕事を引き受けたのも、コレ。
プロジェクトを引っ張る為に自身の力不足の部分を周囲の仲間に助けて貰う努力をする、仲間がいなければ新しい仲間を作る努力をする、そして助けて貰って仲間に感謝する・・
必ずしもお金の為ではない行為について、お金の専門家である山崎さんが指摘されているところが、彼らしいなぁと思ったものです。
資産運用解説者としてはキレッキレの山崎さんも、馬を愛する大のギャンブル好きで大酒呑み。そういう人間的に可愛らしい一面を持つ彼が前述の幸福感の解説で「えーっと健康については自身の反省の念も込めて・・」とはにかんでいたことを思い出さずにはいられません。
山崎さんには心から感謝したいです。そして改めてどうか安らかに眠られますようお祈り致します。
以上