ババ抜き
少し前の週末、奥さんとボーロとテラスランチを楽しんだ時に椅子に財布を忘れた。
最近忘れ物が多くていやになる。
幸いお店で預かって頂いてたんだけど、戻って来た財布は夕方降った雨をたっぷりと吸っていた。
中身の1万円札を天日干しして(意味あったかな?)ハードカバーの本に挟んで二日間。
完全に乾いてはいるけど、なんだか印刷にグラデーションがかかっている。
ボクはめったに現金決済はしないんだけど、ちょうど車検の自賠責保険が現金決済のみだったので、ディーラーに支払う時数枚の1万円札の中にそっと ”コイツ” を忍ばせてみた。
因みにインドを旅行していると現地通貨ルピーの使い古され破れたお札がたくさん市場の出回っている。”コイツ”を一旦つかまされると、もうだれも引き取ってくれないのだ。完全なババ抜きゲームだ。
だから買い物する時は、お釣りには細心の注意を払うし、一度つかんでしまったら何とかバレない様に次回の買い物の支払いで紛れ込ませないといけない。
こういうゲームが楽しめる旅人がインドフリークになっていく(笑)。
さて、しかしここはヤナセだ。暫くして ”アイツ” を持って戻って来た。
「麻太郎様、生憎このお札だけどうしても機械を通らないんですよ。ちょっと事故にあったお札みたいです。」
「えーそうなんですか、参ったなぁ。じゃあこれで(チェッ!)」と驚いたふりをして新札を渡す。
帰りにメガバンクの窓口に持ち込んだ。
とても感じの良い女性行員が5分後に「大変お待たせして申し訳ありません。本物のお札と確認出来ましたので新札と交換させて頂きます。」
口座を開設しているお客であれば無料で新札と交換してくれるらしい。こんなに丁寧な扱いを受けて恐縮する。
初めからここに来れば良かったのだ・・
でも今度発行される新しいデザインのお札が日本で最後の紙幣になるのではないだろうか?
所詮お金の行き来なんて本来デジタルの記号のやりとりだ。日本は遅れているとはいえ、多くの合理的な理由によりキャッシュレス決済化は進んできている。
今後ボクが実際に札束を手に取って見ることがあるとすれば、それは宝くじが大当たりした時くらいかもしれない。その時は、お札まみれになっているボクを写真に撮ってこのブログにアップしよう。
それでも現金はまだまだ活躍する
日常生活では出来るだけ現金決済不要の店を選んでいる。
今時QR決済すら対応しない「変化を受け入れない店」に明るい将来を感じないし、何なら脱税でもしているのではないかとも疑ってしまうからだ。
でもその一方で、キャッシュレス対応にコストをかけずにより良いものをより安く提供したいと心掛けている良心的な店もあるはずだ。また、確かに「変化を好まない」が昔からの良いものを代々引き継いていると感じる店もいくつかある。
町の修理屋さん
愛車のボディーを擦るのは奥さんではない。何故かいつもボクだ。
今回はリアドアを派手にやった。
日本語のオンライン授業をしている最中に、急遽車を移動する必要に迫られて慌てたのだ。自宅の駐車場で事故るなんて恥ずかしい。
以前塗装修理をお願いした近場のガソリンスタンドに持っていく。
「いやあこれは派手にやりましたねー。16万くらいはいきますね。あと、今お盆明けでサンデードライバーの事故修理依頼が多くて3週間ほど預かることになります。」
ボクは熟練ドライバーだが、運転は下手くそということか。最悪ではないか。
3週間は待てないのでネットで調べて良さげな塗装板金工場に持ち込んだ。
「うーん、派手にやりましたねー。これはうちでは修理出来ないなぁ。この状態だともうボディーのラインが出ないんですよ。」
「いや、先月最後の車検を通した車なんですよ。コンパウンドと塗装で出来る限りのことをやって頂ければもう充分なんです。」
「いやっ、うちでは最低限の修理品質基準があるので、これは受けられないなー・・〇〇自動車さんならやってくれるかもしれないよ。」
〇〇自動車を紹介してもらい、行ってみる。なんと我が家から車で15分くらいの町工場だ。
70代であろう職人さん達が4~5人黙々と板金作業をしている。何故か全員金髪だ(笑)。
まだ30代に見える代表者の方が、ボクの愛車をじーっと見て「税込みで5万5千円でやらせて貰います。」ときっぱり。「いやぁ派手にやりましたねー」なんて余計な事も言わない。
しかもボクが北海道に遊びに行っている間に修理完了しておいてくれるらしい。完璧だ。
車を預けて気分良くして家に帰ると鍵が無い・・そうだ車の鍵と一緒にあの若者に渡してしまったんだ!
本当に最近忘れ物が・・・
仕方ないのでまた電車に乗って町工場に戻る。と、、あの若者が警察官に注意を受けている。何だかボクの愛車が路上駐車扱いらしい。工場内が何しろ手狭なのだ。
「大丈夫です。修理順番待ちの間暫くコインパーキングに入れておきますから。」
えーっ、こんなに安くやって貰うのに申し訳ないなぁ・・
後日車を取りに行った。サイドのラインも十分引っ張り出してくれて、良い仕事に満足だ。
こういうところは現金払いで全く問題ない。いや、これ以上カードの手数料など払わせたら罰が当たる(笑)。
町の布団屋さん
ボクが夏も冬も使っている羽毛布団がついに破けて寝室に羽毛が舞う。
ガムテープで応急処置をして、ネットで調べて近場の布団屋さんに修理をお願いした。ボクが生まれる前の創業の店だ。
この機会に羽毛布団のメインテナンスについていろいろ伺った。
寡黙なおばさんで余計なことは言わない。ボクが質問すると穏やかに教えてくれる。
一通り知りたい情報を仕入れてから修理された布団を車に詰め込み、「あのーここは現金支払いだけですか?」
「えー出来れば・・」とにこやかにおばさん。
微妙な返答だったけど(笑)、まぁいい。良い店に当たったなと思って現金で支払いを済ますと「あの~」とおばさん。
「山梨の親戚から貰ったシャインマスカットですけどおっそ分け・・」
奥さんの大好物だ。やはり地元の店は良いな・・
次にお世話になるのは十数年後か、、ちゃんとおばさんの言う通りに布団を扱えば。。
町の洋食屋さん
ここに住み始めて11年。
前から気になっていたけど今年になって通い出した洋食屋さん。家から徒歩3分だ。
東京にいる週末は必ずお邪魔するお気に入り店になった。
常連の客しかいない。
キャップをかぶり会話の無い夫婦。でもいつも二人同じものを注文するので仲は良いのだろう。
カウンター席でビールとつまみ一品だけを頼んでいつも支払いをせずに帰る老人。オーナーさんだろうか?
ボクたちの席も決まってきた。そろそろ常連さんの仲間入り出来たか。
年中無休で夜は5時開店7時閉店(早っ!)。もう80歳になろうかという老夫婦がコックさんのユニフォームでてきぱき良い仕事をされる。
昭和の香りに包まれるこのお店も当然支払いは現金だ。いつもお釣りと一緒にキャンディーの詰め合わせをくれる。
あー10年前からお邪魔すれば良かったよー。
お二人ともこれからもずーっとお元気でお店を続けて欲しい。
それではShanti Shanti!