お彼岸

今年の2月に父を亡くしました。95歳での大往生でした。

小さい時に結核を患い片肺となりましたが、その後は大きな病気もケガもせず最後の日に病院に運ばれるまで自宅で過ごし、その一週間前まではベッドの上で自分でいつもの通りきちんと朝ごはんを食べていました。

祖父の転勤で父は幼児期をニューヨークで過ごしました。当時は飛行機など飛んでなく、ハワイでトランジットの船旅だったそうです。亡くなる直前は子供の頃の楽しい思い出が蘇ったのでしょう。「アメリカで食べるアイスクリームは美味しかったなぁ」」と目をつぶって繰り返していました。

生前の父を振り返って

昭和の初期にネイティブの英語力を身につけている日本人は少なかったのだと思います。

父は(傍から見ると)あまり苦労とか試練とかいうものを感じること無く育ったようです。ボクの大学受験の際も「麻太郎、因数分解など出来なくても英語だけちゃんとやっておけば大丈夫。」と真顔で励まして(?)くれましたし、就職でボクが海外営業を希望したのも外資系の会社で苦労話一つ語らず勤め上げた父親の影響もあったと思います。

「若いうちは苦労は買ってでもするべき」など今の若い人達の中では死語かもしれませんが、ボクも父を見ながら「若いうちに苦労などしなくても生涯苦労を知る必要のない人生が過ごせるならそれに越したことはない」と本気で思っていました。

父は確かに語学力によるアドバンテージを社会に出てから発揮したと思いますが、小さい時から両親に大事に育てられ、それゆえに他人を疑ったり、打算で動いたりすることも知らず、結果的にその人柄から自身が困っているときは何故か必ず回りの人々から助けて貰う巡りあわせに合ったと母親から聞いていました。

ボクも父からその幸運を少しは分けて貰えたのでしょうか。人生の中で悩んだことも怒りを抑えられなかったことも勿論あることはあったのですが、多くの場面で最後はまわりの誰かに助けてもらったり、良いアドバイスをもらえたりして最悪の事態は未然に防いでいたように思います。

40過ぎからは外資系の会社となり、特に外国人のマネージメントに対しては意識して強く自己主張する場面も増えてきましたが、一方で同僚や配下の人たちには、自分の本来の素の部分(多く場合は力不足の部分)を無防備にさらけ出して接していたと思います。その方が楽でしたし、またチームとして良い結果が出ることが父親から引き継いだ経験則から何となく分かっていたのだと思います。

そういうことが、父が逝去し、自身が退職した今年になってやっと感じられるようになりました。

 

お彼岸のお墓参り

お墓は三重県にあります。子供の時から毎年父とお墓参りをしていましたが、ここ数年は父に新幹線で移動する体力が残っていなかったので、ボクが代表して行っていました。

今年は父の四十九日に続いて2度目となります。「お陰様で」とは他人に対する感謝の気持ちですが、「お陰様」は祖先のことを指すと聞いたことがあります。祖先の方々に見守って頂きながら今を生かされているとこの数年強く感じています。本当にこの数年のことです。

麻太郎家の祖先のお墓一列。大勢の祖先に見守られている。

過去帳の上では江戸時代まで遡り、ボクは14代目となりますが、ここまで各代での縁とかそれぞれの生き様とかの積み重ねで今のボクがいて、ボクも奥さんと出会いがあって15代目の息子がここにいて・・本当に奇跡の連続でここに当たり前の日常を送っているボクたちがいるのは不思議なことだなと毎回墓参りの時に思います。

 

お伊勢さん

午前中でお墓参りが終わったので、ちょっと足を延ばして伊勢神宮まで行ってきました。

過去二回訪れていますが、この日本人の心のふるさととも言われる聖地にスピリチュアルなものを感じることは正直言ってありませんでした。

しかしここはお願い事をする場所ではなく、感謝を伝える所・・・気持ちよく定年退職を迎えたこと、そして穏やかな新しい生活のスタートを切れたことに対し、感謝の意を表すには最適な環境であったと思います。

4連休の初日で大勢の賑わい。でも清々しい空気の中、気持ちコロナリスク低し。「

内宮出口の脇にある静かな池。こんな小さな池にも何か厳かな佇まいを感じる不思議。

 

もうひとつのお伊勢さん詣り

昨年末に一人でお墓参りに行った時、名古屋から三重に入る前に知多半島の温泉で一泊しました。その時たまたま訪れることになったつぶてが浦。

 

鳥居に座する岩は知多半島の地質ではなく対岸(紀伊半島)からきたもの。天照大神が他の伊勢の神々と力比べで投げた岩が知多半島まで届いたものと言い伝えられている。

この鳥居の正面対岸には伊勢神宮があり、昔から地元の人がここからお伊勢さんをお詣りしている。

 

東京近辺ではみられない何かとても神々しい空と海の光。

海辺のイタリアンレストラン。このロケーションとこのクオリティのランチの両立は関東近辺ではなかなかおめにかかれない。

おまけ

都民のGo Toは9月の4連休から始まると思ってたので、奮発して鳥羽あたりに一泊する計画でしたが、残念!しかしこういう時にどこかからとんでもなくお得なプランを見つけてくるのが奥さんの特技です。

JR東海の期間限定プランで、東京から新幹線で名古屋経由鳥羽までの往復チケットが定価の3分の2弱の掘り出し物を掘り出してきました!しかも伊勢神宮回りのバス周遊券、おかげ横丁での飲食クーポン(計9枚)付き!

結果、お墓参りと神宮詣りがセットで日帰りで可能となり、いつもの通り奥さんに感謝です。

ボクは毎日が日曜日ですが、奥さんにとっては貴重な4連休です。明日は日帰りで軽井沢に子犬の散歩に行ってきます。

それではShanti Shanti!  素晴らしい1日を!

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