新車同然なのに安く買える「新古車」。公正取引委員会の調査で、独BMWのディーラー(販売店)が、販売目標達成のために新古車を「量産」させられていた構図が明らかになった。店の経営者らが朝日新聞の取材に応じ、「過剰ノルマ」に翻弄(ほんろう)された日々を振り返った。

「需要に合っていない目標を設定されると、努力をしても達成できなかった」。数年前までBMW販売店を経営していた男性は振り返る。

男性の会社は1980年代、当時日本で現地法人を設立したばかりのBMW側から打診を受ける形で、専属ディーラー契約を締結。東日本のある地域で店を開いた。

店には「販売計画台数」と呼ばれる目標があった。例年、年明けにBMW側から届く「年次販売計画」に書かれていた。20年ほど前から、この目標を達成しないと、それまでと同等のマージンが得られない仕組みになったという。

異変が起きたのは2013年ごろ。店の実力を大きく超えた計画台数を課せられるようになったという。

販売を担うエリアの需要にも限界がある。「普通に売れるのは年間300台ほど。なのに計画台数が最大で550台にまで引き上がった」と男性は話す。当時は、メルセデス・ベンツなどのほかのドイツ車メーカーとの競争が激しくなっていたという。

引用閉じ
ボクがマレーシアの販売店に営業責任者として派遣された当時、ボクの担当ブランドではありませんでしたが同社内でドイツブランドの乗用車を販売するにあたり、似たような営業手法がとられていました。
ディーラーにはブランドガイダンスに沿った設備投資を100%負担させ、さらに年末にはその年の我が社の目標売り上げを確定させるための押し込み販売(=ディーラーにとっては過剰在庫)が普通でした。
但し現地ディーラー側でも所謂「世界的有名ブランド〇✖のディーラー」というステイタスを、現地上層世界へのビジネスネットワークを強化出来るメリットとして享受していました。
だから卸売会社(=ボクが勤めていた会社)からの様々な無理難題の要請を受け入れていたという事実もあります。
ディーラー側に包括的なビジネス合理性がないのであれば、フランチャイズ返上のオプションもあったはずです。
そうでない限りは、つまりウィンウィンであったということです。