3月末に自宅で肩を骨折してそれから入院、手術、リハビリの流れで、在宅勤務が中心の定年間際の数か月でした。この在宅という新たな勤務形態がその後のボクの定年生活へのソフトランディングに強く影響したと思います。
家族3人一緒に過ごす家で
奥さんは一足先に3月より在宅勤務、4月より新学期が始まった大学生の息子もオンライン授業となり、緊急事態宣言もあり、基本朝から晩まで家族3人で毎日を過ごすことになりました。
ワークスペース
奥さんは簡易テーブルとイスを新たに購入、会社よりモニターも提供されて和室の一角で仕事、息子は廊下の角に設置してあるワークスペースでの受講、ボクはというとダイニングテーブルでの仕事となりました。
奥さんやボクがテレビ会議がある時は、ボクが2階の寝室に移動することがありましたが、基本的に非常に在宅環境に恵まれていたと言えたでしょう。会社ではお子さんが小さいとか、夫婦と同じスペースでは狭くて仕事が出来ないなどの理由でやむを得ず会社に来て作業されている方々もいました。単純に「会社で仕事をするのが好き!」という人もいましたが(笑)
こんな日々が来るとは想定していませんでしたが、8年前に奥さんと「あーだこーだ」と長い期間話し合って建てた愛着ある家です。在宅勤務のストレスは一切なく、この環境が継続するなら「定年退職は早まった!」という気持ちが頭をよぎりました。実際この時期に我が社のHRからは「今後コロナ禍が収束した後もずーっと在宅OK」の通知がボクのPCにも届いていました。あらら。
昼ご飯
奥さんは毎日同僚と丸の内でのランチの楽しみを出社のモチベーションにしていましたが、このコロナ禍で(ボクの分はともかく)自分と息子の分の昼ご飯を自宅で作ることが大きな負担になるので、昼休み時間を長めにとって散歩がてらに近所のテークアウトランチを色々試してみました。
普段は気楽には行かないフレンチレストランも1000円から1500円程度で精一杯頑張ったランチボックスを提供していました。実際にワインなんかもそうですが、レストランは雰囲気代とサービス料としてチャージしているものを省くと本当にリーズナブルになることが多いとわかりました。家のダイニングルームが十分に雰囲気の良い我が家では、「これはありだな!」と目から鱗でした。
なかなか届かなかった政府の給付金ですが、このテークアウトにつぎ込みました(笑)緊急事態宣言中は夜も良くお世話になりました。お店の方はほとんど利益にならなかったと思いますが、少しでもお役に立てたら良いなという気持ちもありました。
オンライン授業
息子の通っている大学では前期は勿論後期もオンライン授業が決定しています。
大学は講義を受講し学ぶ場にとどまらず、社会に出る前の準備期間としての成長活動経験の場としての位置づけもあるので、それが出来ない環境下、休学に踏み切る学生や授業料を減免してほしいと訴える学生も少なくないと聞きます。中には地方から上京して学校に行けない状況下、東京に住んでいるという理由で実家にも戻れず一人アパートでオンライン授業を受けてストレス過多になっている学生さんもいるようで本当にお気の毒に思います。
こんな状況下で申し訳ないのですが、うちの息子は大学では部活には極めて積極的に取り組んでいた一方、授業への参加は極めて消極的で単位の取得に重大な問題を抱えていたので、昨今のオンライン授業はある意味神風でした。
ボクの姉も以前息子の大学の夜間の(社会人向け)公開講座を受講していたこともありますが、仕事を辞めると何かを学び直したい、新しいことを学んでみたいという欲求が湧いてくることがあるようです。
ボクも今回息子のオンライン講座を横でかじったり、息子のレポートを見たりと、にわか聴講生を経験してみて「あーボクも大学でこれ習ったなぁ。40年の時が経ても変わらない学問もあるんだなぁ」と思ったり。
オンラインという初めての経験は先生方にとっても同じで、うまく授業内容がアップロード出来なかったり、オンライン授業での教え方に限界があったりで、全般的に提出レポートの採点は甘かったような気がします。
お陰でうちの息子も上期の全ての単位を取得することが出来ました。良かった~
退職してみて豊かさを感じていること
何しろ時間がふんだんにある
現役のピーク時は兎に角効率を求めていました。生産性を高めないと結果が出せませんでしたし、ボクは年間20日間は必ず休暇を取得することを決めていたのでなおさらでした。効率を上げる仕組み作りとかネットワーキングとかが快感ですらありました。
役職定年になってからは、どちらかというと最低限の努力で求められる最低限の結果を出すことを考えて仕事をしていました。求められる結果のレベルが相当下がったのだと思います。
退職した今は、何をするのも自由。ひとつの小さなことを成し遂げるのにいくらでも無駄に時間を使う事に生活の豊かさを感じています。冒頭の写真のモザイクもネットで調べながら試行錯誤を重ねながら二日にわたり辿り着きました。写真とキャプションの幅がどうしても合わないけど(笑)
今年の始めに95歳の父を亡くし、一人で引き籠った母を毎日散歩に連れ出しているのですが、毎回同じ話を繰り返す母に対し「そうだね。」と鷹揚に相槌を打つのも現役時代は出来なかったことです。
出来るだけ丁寧に時間をかけて親孝行をしたいものです。
感謝するということ
もう労働をしていないことに申し訳ないという気持ちなどは持ち合わせていませんが、自分がこれからも生かされていく中で支えて下さる様々な人々に対する感謝の念を強く意識するようになりました。
暑い中荷物を家まで届けてくれる宅配業者のみなさん、旅行先でサービスを提供してくれるホテルの従業員の方々、病院の処方箋の薬を調合し「お大事に」と言ってくれる薬屋さん、皆さんマスクをしながらその奥にある最高の笑顔で一生懸命働かれている人々に「ありがたい」と感じる毎日に大変満足しています。
尚、コロナ禍で大勢の方々に送別会をして頂くことなど望むべくもありませんでしたが、退社後に少人数でのお誘いをいくつか受けました。昨日も昼過ぎから居酒屋で飲みだすことに。ずーっと会社の仕事の話をしていました(苦笑)。これらの愛すべき仲間にも大感謝です。
いずれ会社の仲間との付き合いも薄くなっていくでしょう。ボクと異なり、彼等、彼女等にはこの先も立ち向かうべき仕事があるのだから。
今日はそんな彼等、彼女等にもShanti Shanti Shanti! 素晴らしい1日を!