前回の記事で相続税を支払いに銀行に行ってきたお話をしました。
話の順番としては、先ず「ご退職者特別プラン」で3か月間定期で預けておいた退職金が満期になったことから「さてこの後はいかがされますか?」と銀行側が営業をかけてくる日だったのです。
先ずは、ほぼノーリスクで3か月間破格の利息を付けてボクの退職金を預かって頂きありがとうございました。
定年退職者は狙われている?
ご退職者向け特別プランというのは、いろいろな銀行でやっているようで、「退職後1~2年間以内であれば有資格者」というのが多いです。
退職者の中にはこの1~2年間で複数の銀行に3か月毎に資金を入れ替えて、特別定期金利をせしめる強者もいるようです(笑)
でもほとんどの退職者は、銀行から今後の資産運用について積極的なアプローチを受けることになります。
人生で一番たくさんの現金を持つ年齢
多くのサラリーマンは、現役中は住宅ローンの返済や子供の教育資金で手持ちキャシュの余裕は無いと思います。
そこに今まで見たことも無い額の退職金が入ります。
しかもそれがメインバンクに振り込まれれば、銀行側も情報は簡単に入手出来ます。
老後資金が一番心配になる年齢
現役時代は老後の心配をする余裕すら無く、ひたすら日々の生活の為に働いてきた労働者が、退職する前後のタイミングでにわかに先行きの生活資金につき不安に感じ出す様です。
やれ「人生100年時代の長生きリスク」だの「老後2000万円問題」だのマスコミや銀行・証券会社に煽られて・・
結局この年齢層しか標的にならない?
40歳くらいまでの若い世代は、資産運用に興味がある人ならネット証券で全世界分散型のインデックスなどの手数料が安く質の良い商品を買っているでしょう。たくさんのお金は持っていなくても彼等には時間(=長期積立投資)があるからね。
40~60代は一番生活にお金がかかる時、なかなかこのタイミングで投資に向かうのは厳しい世代です。
また75歳以上の所謂「後期高齢者」への手数料の高い商品の販売は、現在社会問題となっています。売り手側も営業マンを一人で行かせない、もしくは買い手側の家族立会いの下で商品説明する等ルールを決めており、従来みたいな好き放題が出来なくなっています。
そうするともう60~70歳の
①現金を持っている、
②老後の為に何とか早く資産を増やしたい、
③ネットに疎く、対面を好む、
そして
④商品に対する理解力、判断力がまだ十分にあると(世間では)認められる人々に売っていくしかないのです。
各銀行も中銀の長期低金利政策、ネット銀行やネット証券の躍進により財務状況は傷んできており、自社の膨大な固定費(相変わらず給料も高いよね)を維持していくことにもう必死ですから、ボクたち世代が狙われるのは当然のことでしょう。
銀行に行く前に予習してみました
3か月前に退職金全額を定期預金に預けた時に貰ってきたパンフレットによると、定期預金期間が終わると次の3つの商品が銀行側から勧めることになります。
①ファンドラップコース
②投信コース
③元本保証コース
銀行が売りたい商品は①か②、どちらも預け金額の最大50%相当を円定期預金の破格の金利7%で釣っておいて、残りの最低50%相当で手数料の高い商品を買わせるもの。
定期金利7%と言っても最初の3か月だけ、税引き後の年金利換算では1.4%弱、しかも1度限りというしょぼいもの。
それに対し肝心の商品については、②は様々なプランが用意されているのですが、信託報酬は最低でも1.5%は取られるぼったくり商品(これは毎年かかるコストです)。
①のファンドラップに至っては、信託報酬は(最大)2.2%! さらにはプロにお任せ手数料として(最大)1,3%~1.5%、さらにさらに超過収益(定義は不明)に対する成功報酬として11%を取るというかなり厚かましいもの。
肝心のプロが誰なのか、期待リターンはどの程度なのかの説明も無し(笑)まぁ説明して貰ってもあくまで期待リターンだから何の保証にもならないけどね。
今まで投資の勉強も経験もしないで労働に明け暮れていた人たちが、銀行がプロと呼んでいる人を信じて託してしまう。ちょっと名の知れた大企業の部長さんとかもですよ。
もはや余談ですが、③は元本保証ながら最低5年定期預金で加重平均金利は0.05%。ボクが楽天銀行に預けている普通預金の金利が0.1%だから、全く比較になりません(爆笑)
銀行での顛末は?
流石に一流銀行
以上さんざんこき下ろした銀行でしたが、実際のボクへの対応はとてもスマートなものでした。
実は3か月前に退職金を定期預金に預けた際に、その条件としてボクの資産状況を報告させられて、この機会にボクの今後の運用方針についても説明していました。
総資産の8割を既にインデックスファンドで運用していること。 長寿への保険として、年金受給は70歳まで繰り下げる予定であること。 退職後は70歳まで退職金を生活費の一部に当てていくこと。
以上により、今回は銀行の窓口でも
「麻太郎さんは、ご資金を普通預金に戻されるということでよろしかったでしょうか?では今まで定期預金にお預け頂き誠にありがとうございました。」
だって。
脈の無いお客には無駄な時間はとらない、とらせないという見事な対応でした!
前回は銀行から帰ってきたら奥さんに「○○千万円もお金を預けてきたのにティッシュペーパー一つ貰えなかったの?」とおこられましたが、ボクみたいな客は銀行にとっては不要人物以外の何物でも無いですから。不審人物ではないですよ(笑)
さらに親切な乙波が
普通預金に戻した退職金から、亡くなった父関連の相続税の支払い手続きをお願いしたところ、今度は「家族の絆プラン」を勧められました。
これはターゲットが退職者でなく遺族になったもの。「相続されたお金を運用してね」というもので、やはりファンドラップ、投信を売り込もうとしている(笑)
但し窓口のお嬢さんもボクの意向をもう十分理解されているので、前回同様3か月定期預金を紹介して頂きました。
しかもこれが前回の「ご退職者特別プラン」よりさらに好条件の金利でした(爆笑)!
相続税の持ち出しは想定外でしたが、こういうささやかな喜びを大きな満足に変えていくのは人生を楽しむ重要なコツですね。
それではShanti Shanti! 素晴らしい1日を!