このマークは”止まれ”という意味です。

 

あと一週間

4月20日にスタートした「日本語講師養成講座」も昨日でメインイベントが終わり、残すところ来週あと一週間。

養成講座最終卒業試験も94点で合格、また来週はボクのスピーチや模擬授業も無く、日直係や掃除当番も回ってこないので(笑)、もう終わったも同然。

日本語講師の国家資格化が近年文科省で議論されていますが、まだまだ法整備には5~6年はかかりそうですので、来週の卒業を持って目標としていた日本語講師資格を得ることが出来ます。

先ずは良かった良かった~

模擬授業やったよ ~ 感無量

学習者と授業レベル

日本非母語の学習者に日本語を教える場合、日本の大学や大学院を受験する人、日本の会社に就職したい人、技能実習生として日本で働きたい人、エクスパッツとして日本に働きにきた人に帯同して来日してきた家族等々、求められる学習レベルは当然異なります。

初級、中級、上級、超上級とクラス分けされることもありますが、ボクのイメージだと初級を完全に理解すれば、日常生活で困ることはまずないかと。ボキャブラリーとしては足りていませんが、そこは日常生活の中で徐々に追加して覚えていくだけの会話力と、日本語を学ぶコツなどを既に身につけていると思うからです。

中級になると、異文化としての日本をトピックとした長文の精読そして、高度な文法、慣用句を学ぶことになり、さらに上級になると、時事ネタやトレンドネタを準備して生徒同士ディスカッションさせて、講師はファシリテーターに徹するような授業になって行きます。

養成講座では、約8割の時間を初級の教え方に費やしていたと思います。

模擬授業とは?

初級クラスで教えるに当たり一番難しいのは、まだ日本語のボキャブラリーも文法も身についていない学習者に、直接法、即ち日本語で日本語を教えることです。未習の言葉(まだ習っていない言葉)を使っても学習者は混乱するだけなので、語彙のコントロールは非常に厳格に行われ、既習語彙だけで意思疎通が出来ないところは、絵カードや実物を使ってゼスチャーなども駆使して表現します。

雨や傘と言う語彙を教える為に絵で示したり、実際に傘を開いて見せたりして少しずつ習得語彙を増やしていきます。

ボクが学んだ養成講座では、コースが始まって3週間後くらいから、模擬授業と言って自分で教案を作って他の12人を生徒に見立てて文法や新出語彙を教えるという訓練を頻繁にしてきました。

教案は学生の身近なもの、学校ネタやバイトネタ、マンガネタやコンビニネタなどを中心に場面設定して、学習者の限られた語彙をカバーすべく、絵カードなどの教材を自作して教えていきます。

これが超難しい。模擬授業と言っても実際はボク達大人の日本人を相手にやっているので、拙い問いかけでもすぐ日本語で反応が返ってくるが、実際の初級非母語者からはそんなテンポの良い反応など期待出来る訳が無い。その辺は先生から口酸っぱく指導されました。

模擬授業の洗礼を受けたのは先月就職活動の一環として実施された、学校の理事長と現役講師を生徒に見立ててのテストでした。

本当は生徒の方からの発話を積極的に引き出さなければならないのですが、どうしても講師役であるボクの方からの一方的な説明になってしまいます。問いかけをしても生徒役がなかなか真っ直ぐにレスしてくれないのです。実際ボクのアプローチでは非母語者はどう対応して良いか分からないことがたくさんありそうです。

最終模擬授業

そして今週待望の現役初級学習者を相手にした模擬授業を行うことが出来ました。今はコロナで、中国から5名、香港から1名のオンライン参加です。

日本語講師になりたかった大きな動機として、日本語学習だけでなく、日本での日常生活に困っている学習者に寄り添いながら支援していくことがあったので、オンライン授業というのは本来ボクが望むベストの授業形態ではありませんでした。

始めの一歩

それでも現役の非母語学習者を相手に授業を進める極めて貴重な経験です。

オンラインシステムはZOOMですが、ボクの同志12人は皆パワーポイントスライドだけで要領よく授業を進めていきます。皆うまいなぁ。本当に上達したなぁ。

ボクは、後半の練習問題はパワポにしましたが、前半は敢えてZOOMカメラを黒板の前にセットして、実際にボクが例文を板書し、手作りの絵カードを見せて生徒に接しました。

みんな本当は好きな日本に来て、教室に全員集まって授業を受けたかったはず。パワポなどではなく、少しでも先生と対面でやっている感を味わって貰いたかったのです。

でもこの企ては身分不相応でした(泣)このハイブリッド授業のセッティングに失敗して、急遽2台のパソコンを使っての授業を強いられることになり、35分の持ち時間で想定していた授業内容を終わらすことが出来なくなってしまいました!

でもやってみて良かった

ボクの模擬授業の文型、このマークは止まれと言う意味です

前述の通り、オンラインを通じて母国から授業を受けている学生に少しでも日本での生活感を味わって貰う為に、実際に東京の町の風景を写真に撮って教材代わりにしました。

渋谷の駅です。若者に人気の町です。このマークはどういう意味ですか?

このマークは、マスクをつけろという意味です。

ここは新大久保という町です。外国人がたくさんです。コロナの前は留学生もたくさんいました。

おいしそうでしょう?皆さんのお国にもこんな料理はありますか?

先生はお酒が大好きです。でもこれはビールではありません。ジュースです。どうして?

レストランにマークがあります。このマークは?

このマークは、お酒を飲むなという意味です。

タバコ・・?

そうですね。 タバコを吸うなと言う意味です。

でもこういう言い方も出来ます。

タバコを吸ってはいけないという意味です。

そうです。というの前には命令形、禁止形、そして「て形動詞」の普通形も使うことが出来ます。

これは渋谷の動く階段です。エスカレーターといいます。

ここにも禁止のマークがたくさんあります。それでは「歩かない」から練習していきましょう。リュウさん、ダニエルさんにマークのことを聞いてください。ダニエルさん、マークの意味を答えてください。

 

最後は時間が全く足りなくなり、また2台のパソコンも上手く使いこなすことが出来ず、グダグダの授業になってしまいました。

これは本当にしょっぱいボクの最初で最後の現役生徒向けの模擬授業になってしまいました。

 

最後に6人のボクの授業に対する感想がZOOM越しに聞こえてきます。

「私たちの授業の為に一人で(多分自分でと言う意味)写真をたくさんとって見せてくれましたから、麻太郎先生はとても親切な先生です。」

 

今こうして文字にしても泣けてきます。

5か月間ここで勉強して良かった。

おまけ

ボクの最後のスライドがこれ。

先生は先生の犬と散歩します。

日本にはこんなおもしろい禁止マークがあります。まだ習っていないですが、皆さん何の意味かわかりますね?

じゃあこれで麻太郎先生の授業は終わります。みんなありがとう。いつか日本に来れるのを待っていますね。

ボクの授業が一番盛り上がった瞬間でした。ボーロはどこでも愛されているなぁ・・

 

それではShanti Shanti! 素晴らしい1日を!

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