いつも通りのんびり

内風呂からガラス越しに鬼面山を眺める。つららを見るなんて何年振りだろう。

ここに来る訳

ここはいつも電話で部屋を予約するので、今回の全国旅行支援の件も電話で聞いてみた。

「あーまだ常連さん用に予算持ってますから、麻太郎さんワクチン接種証明書と身元確認証だけ持ってきて~」

この数か月間は全国旅行支援の手続きで結構面倒な作業が続いていたけど、こんなに簡単に事が進むなんて。数年前までクレジット決済も出来ないような宿だったけど、アナログな宿ほど逆にこういう手続きが簡単なこともあるのかも。

 

ボク一人でも奥さんと二人でも来る「秘湯を守る会」のお宿。

お一人様歓迎宿で、頼めば福島駅までのバス送迎をしてくれるので、ふらっと来て一人でまったり出来る。

いかにも秘湯感溢れる素朴な環境

 

また温泉良しご飯良しで、子犬を東京に残していける時は奥さんも喜んで来てくれる。

食事も素朴(笑) 。これにキノコの天ぷら、岩魚の塩焼きを暖かい状態で出してくれる。幸せ感溢れるご飯。

今回は奥さんと一緒だったけど、やはりご飯は二人が楽しい。

外は雪なので一日中温泉三昧。部屋ではWi-Fiが通じないので読書かテレビを楽しみながら布団はひきっぱなしでひたすらゴロゴロ。昨年ここでお会いした仙人夫婦のような過ごし方。

ある仙人生活(ボクじゃないよ)

こういう旅の過ごし方は普段仕事で多忙を極めているからこそ成立するものと思っていたが、そんなことはない。普段ゆっくりしていても、ここではもっとのんびりすればよろしい。子犬の世話も不要だし奥さんもハッピー(笑)

ワールドカップで思い出すこと

そう言えば前々回ここに泊まった時は昼夜ずっとテレビでアメリカ大統領選挙中継を見ていたなぁ。今回はWC(ワールドカップ)。

普段サッカーに興味がないボクもWCに興奮するのは、オリンピックと同様ナショナリズムの高揚を感じるからだろうか?陸上とか柔道も全く興味ないけど、オリンピックではやはり日本を応援したくなるものだ。また、両大会とも4年に1度というスペシャル感も見てて飽きない要因かも。

今回は日本敗退後はセミファイナルでブラジルVSアルゼンティンを楽しみにしていた。中南米営業経験が長かったボクとしては、南米頂上対決の個人技の応酬をこのWCというサッカー最高峰の舞台で堪能したかった。

アルゼンティンさえちゃんと勝ち上がってくれれば・・そしたらまさかのブラジルのクロアチア戦敗退。

 

フランス大会だからもう20年以上も前の南米出張の時のこと。

チリのサンチァゴ空港で遅々として進まないチェックイン。6個のカウンターでは深紅のユニフォームを着たランチリ航空の美人スタッフが背筋を伸ばして作業している(風に見えた)。

チリと言えば中南米でも絶世の美女を輩出する国。まぁ列がなかなか前に進まなくても我慢しようと思った。

実は美女6名は全員モニター越しにWC決勝トーナメントのチリVSブラジル戦を見ていたのだ。

空港まで見送りに来てくれたチリ販社のおっちゃんが、「今日はいい試合になるよ。(チリにも)チャンスはある。もし(チリが)勝ったらサンパウロでは暴動になってるから Have a safe trip!」とウインクする。

何とか定刻通り出発したランチリのサンパウロ迄のフライトは3時間ちょっと。その間に試合は終わっているはずだ。

チリ販社のおっちゃんには悪いけど、番狂わせなど起きないことを機内で軽く祈っていたボクだった。その前のWCではオウンゴールで敗退したコロンビアの選手が帰国後に銃で殺されたのを覚えていたからだ。

中南米のサッカーファンは熱い。貧困の中、これだけが身近な楽しみという庶民も大勢いる。

今回のブラジル敗戦後にネイマールが「これから先、とても長い時間傷つくことになる」と吐露している。本当に国を背負っているのかもしれない。

日本チームはどうだろうか?

ベスト8以上が目標とマッチョになりながらも、クロアチアに敗退、帰国時の成田では日本ファンの暖かい出迎えに監督は笑みを浮かべ、何気に爽やかな選手たち。

いや、いいんですよ。日本人は日本人の良い面もたくさんあるし、たかだかスポーツの勝敗で誰かが傷ついたりしないに越したことはない。

でも日本サッカーが世界の壁を超えるにはまだ時間がかかる気がする。

 

サンパウロ空港ではブラジルが4-1で勝利したことを確認、その後ご機嫌のブラジル販社のおっちゃんと早い時間から乾杯。オフィスではもう誰も仕事などしていない。

あの大会では結局ブラジルは準優勝だった。ホームのフランスが優勝。ブラジル主催大会でなくて良かったね。

忘れないこと

前述の「ここに来る訳」でもう一つの動機となっているのが、「どうせどこかで温泉を楽しむのなら福島でお金を落とそう」と奥さんと話したこと。

東日本大震災から10年余り、どうしてもボクたちの記憶は薄くなっていく。ずーっと風評被害に悩まされていた福島の人達に対し、以前より居心地の良かったこの宿に毎年泊まりに来ることが、ボクにも無理なく出来るささやかな支援だと思ったのだ。

宿の食堂に貼ってあったポスター

 

奥さんと福島に来ると必ず途中の二本松インターで降りて食べる浪江焼きそば。

浪江町から二本松に避難してきて今でも浪江町の住所がはいった箸袋を使っている。いつか浪江町に戻って焼きそばを提供出来ることを信じて。

 

疑惑の復興大臣が国会答弁準備の為に被災地訪問予定をキャンセルしたり、復興税を防衛税の一部穴埋めに使う案が与党内で出たり、「こういう時でないと国民に思い出されない被災地であってはならないなぁ」とここに来る度に思うことが出来る。

それだけでも定期的にここを訪れる意味はあるのかなと感じます。

宿で貰った福島キャンペーンのチラシ。

昨年は大吟醸が当たったけど、今年も何か当たるかな。

 

それではShanti Shanti! 素晴らしい1日を!

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