奥さんが、デスクでカタカタとキーボードを打っています。
負けじとボクもテラスでこうやってカタカタと駄文を打っています(笑)
現職中は国内外の出張中、及びプライベートの旅行中でも、PCを使っての仕事は普通にしていましたが、退職後にこうやって自宅以外の場所にPCを持ち込んでブログを書くのはこれが初めてです。
奥さん、なんちゃってノマドワーカーになる
昨日より伊豆山にいます。三週間前に利用したホテルに再訪です。
この前記事の最後で紹介している露天風呂付部屋で二泊三日の滞在となります。
珍しく奥さんの希望により、いつもより贅沢な部屋に滞在。
休日を挟んでの旅行の過ごし方
実は奥さんは1週間前にもお義母さんとこのホテルの露天風呂付部屋に泊まり、これが仕事もはかどり非常に快適だったのだそうです(3週間で3回目! 良く行くなぁ~)。
2月11日の建国記念日に自宅を出発、翌12日はホテルの部屋で仕事、13日の土曜日に対向車線の渋滞を横目に帰京。
今回も、21日の日曜日出発、翌22日即ち今日はホテルの部屋で仕事、明日23日の天皇誕生日に帰京という同様のパターンです。
今までであれば週明けや祝日の次の日など(作業的に)とても会社を休むことなど出来ない仕事環境だったそうですが、この長期にわたるリモートワークにより、旅行を続けながら上手く仕事をこなしていく術を磨いたということです。
仕事場から移動することもなく休憩時間には海の見える露天風呂にドボンは、癖になる贅沢だろうとはボクにも容易に想像できます。
我が家のノマドワーキングに死角無し
ノマドワーカーとは、会社ではなくコワーキングスペースやホテル、もしくは海外のどこかでITツールを駆使して仕事をする人々のことで、人気ブロガーやユーチューバーの人達がタイやラオス等、主に物価の安い東南アジアを拠点としながら発信していくスタイルで多くの人々に認知されるようになりました。
他にエンジニアやプログラマー、デザイナー、ライターといった職種の人達に一定数のノマドワーカーが存在するようです。
このまさに遊牧民の様に国内や世界を移動しながらの仕事を持つ生活というのは、自己裁量が大きく、場所を選ばずに仕事を出来るので、若者から中年世代に至るまで憧れの存在であると思います。
一方でこの働き方の最大の欠点は、やはり収入が不安定なフリーランスが多いことに見られるように経済面の脆弱さです。
それがこのコロナ禍で状況が少し変わりました。実は収入が安定している大企業ほど社員がリモートワークでも作業が出来るインフラが整っているので、奥さんのように良いとこ取りの仕事の仕方が可能となるわけです。
またフリーランスと違い、組織の歯車として(良くも悪くも)その日その日でやらなければならない作業が決まっているので、リラックス出来る環境であってもだらだらと作業の先延ばしをすること無く、オンオフの切り替えが比較的に容易です。
奥さんも、休憩時間を長めにとって、クイックマッサージを受けたり、ホテル近くの海の見える高台レストランでランチをしたりと、バランスを取りながら機嫌良く仕事を処理していました。
How to Retire While You’re Still Working
ボクはというともう現役を卒業しているので、奥さんのそういう働き方を目の当たりにして正直ちょっと羨ましく思いました。
2008年にアメリカ3大メディアのひとつのCBSのマネージメントが書いた上記タイトルのビジネス本を、今読み返しています。
基本となるコンセプト
- 他人に仕事を押し付ける
- 不在
- 立場を利用する
- 分からなくても決断する
- 真剣に関与する
1~4はブラックユーモア満載のHow toもの。特に外資系の職場では「あるある」でボクのサラリーマン人生にも少なからず影響を与えました。
兎に角現代ビジネスマンは理不尽に忙しすぎるのです。単なる良い子では結果は出せません。
そして5の非常事態時には
- 現実の職場での”警戒警報”に気付き、自分がすべきことを理解する。
- (今まで通り)仕事をしなくてもよくなるよう、必死で仕事をする。
- せっかくなので、仕事を存分に楽しむ。
- ことが片付いたら、月末まで休みを取る。
サラリーマン人生の中で限られたモチベーションと能力に濃淡をつけるという点については、いろいろな気付きを与えてくれる良書です。
その中で2の不在の章では、13年前にして既にアメリカではリモートワークの”おいしさ”が認知されていたことを示しています。
引用
ある晩、私(著者)が北部カルフォルニアでパーティに出席した時のこと。そこは必死に働かないことで多額の報酬を受ける人々の最前線のような土地だった。
大金を手にして最近の彼等ときたら、単にぶらぶらしているだけなのだ。海でサーフィンをすると同時にネットサーフィンも楽しみ、薬物でハイになり、ちびっ子サッカーチームのコーチを務める。・・・だが総括すれば、彼らは今でも夢のような暮らしを送っているのだ。
その晩私はフィルという男の隣に立っていた。・・・「グローバルソリューションを扱うIT企業を経営しています。」
「そうなんですか!」驚きを表さないように私は言った。なにしろ彼とは数回パーティで顔を合わせていたが、いつだってすっかり酔っぱらっていて威厳のある本書ではとても書き記せないような題目について延々と語るような男だったのだ。
「そうなんですよ。何しろ明日も働かなければならない。朝5時起きでスティンソン・ビーチに行くんです。」
スティンソン・ビーチは幻覚作用のあるサボテンをコーンフレークに混ぜて朝食に食べる人々がいまだに生き延びている土地である。「ビーチで仕事をするんですか?」と私。
「いや」フィルはまるで愚か者を見るかのような目つきで私を見つめた。「サーフィンに行くんですよ。あのビーチはあまり人も多くないし来ている連中は穏やかだし。水が異常に冷たいのが難点だが、全身ラバータイプのウェットスーツがあるし、なんたらかんたら。。」
それでも私は待ち続けた。彼がその話題に移るのを・・・だから、仕事は?
「日の出と同時に行くんですよ。素晴らしい景色なんだ。駐車場に車を停めてラップトップとブラックベリーを用意する。そこでロンドンの支社との電話会議をするんです。その時間だとアジアのほとんどのオフィスは開いていますからね。彼らは年中休み無しで働いてるんですよ。でも自分が何をやっているのかわからないのでいつだって指示を必要としている。」
「だから彼等が時間を無駄に使わないように、毎日15分から20分時間を割いてやっているのさ。それが終わったら、私はサーフィンをする。」
わかるだろうか?この男は単なる怠け者ではなく、年間数十億ドルを稼いでいる会社の経営者なのだ。サンフラン、サンホセ、ロンドン、ドバイ、シドニー、香港や東京の彼の部下たちは、夜明けの海に浸かる直前にウェットスーツで身を包み、マリファナを吹かしている彼の姿を思い描けるだろうか?
何より重要なのは、彼はいわば1日24時間、常に部下の身近にいるということだ。IT技術を駆使した彼の仕事のやり方により、部下たちから遠く離れているどころか、逆にいつでもすぐそばにいる状況を作り上げているからだ。
引用閉じ
そう、ボクもこの本を手にした10数年前に憧れたリモートワークの姿。
当時は既にITインフラはそれなりに整っていたと思いますが(確かにあの頃はまだブラックベリーだったけど)、それを許容する時代と社風が追い付いてこなかったのかも。
でも昨年来の継続的なリモートになったところで、もし雇用延長を選んでいてもこの環境を楽しみながら仕事を出来たか?
いや、契約社員になって上司から遠隔操作されることでボクのサラリーマン人生を終えるのはかなり残念なライフプランです。
ボクはもうノマドワーカーなんかではなく、本当のノマド(遊牧民)生活も送れるわけですから。
今日はそういうことで1日の大半をこのテラスで過ごしています。
この季節外れの小春日和の中、ボンベイサファイヤのロックをちびちびやりながら、ブログを打ったり読書をしたり、体が冷えてきたらテラスに併設の温泉にドボン・・
海を見ているうちにうとうとしてきたら、ベッドルームで小休止。
何しろ今日のボクのミッションは奥さんの邪魔をしないことだけですからね。
それではShanti Shanti! 素晴らしい1日を!